第3話 とんで、パドブレ?

スタジオ・クローズのときにもらった、トンベ・パ・ド・ブレというプレゼント。
これを選んだ先生って、やっぱりすごい、と今になってしみじみ思います。
アラベスクという「形」でもなく、ピルエットでもなく、「5番ポジション」でもない。
まあ、当時の先生に訊いたら「あまりにも酷かったんだもん」と言われるでしょう。

 

トンベ・パ・ド・ブレって、誰が発明したの?・・・トンベさんとパドブレさん?
それにしても、変な言葉です。初めて耳にしたとき、バレエを始めた大人の方全員の頭の上に「?」マークが舞ったはず。そして、誰もが思ったはず。
「とんで、パドブレ?」

 

一旦、この動きができるようになると、センターの1割くらい征服したようなもの―と言っても過言ではないです。これの繰り返しでも立派な踊りなるし、この後にグランパ・ドゥ・シャ、またはアッサンブレ、パ・ドゥ・シャをくっつけるだけで初心者クラスのグランワルツは8割クリアできます。


でも、これが美しくないと、その後のグラン・パ・ドゥ・シャの脚がいくら美しく開いたとしても、印象が雑になってしまいます。

 

舞台というごちそうを作る、アンシェヌマンの数々が食材や調味料だとすると、トンベ・パ・ド・ブレは「出汁」と言えるのではないでしょうか?