第32話 「金平糖の精」を探して(2)

外国には金平糖はないのでしょうか?

金平糖の精」の金平糖に相当する言葉を検証してみます。

フランス語のドラジェはお馴染みです。アーモンドにお砂糖のコーティングがされているものです。
ウィキペディアによると、「ドラジェの精」がオリジナルのようです。

では、英語の「シュガープラム」とは?
なんか、美味しそうな響きです。イギリス人が命名したのでしょうね。
ネットで調べてみたところ、イギリスにはコンフィットと呼ばれる、キャラウェイシードやオレンジピールリコリス(甘草)などをお砂糖でコーティングしたお菓子があり、その中でも、アーモンドをコーティングしたものを特にシュガープラムと呼ぶことが分かりました。
結局、ドラジェや金平糖と同じもののようです。

ということで、イギリスに行ったついでにコンフィットを探してみました。
コンフィットは金平糖ほどの知名度はなく、案外苦戦しました。カラフルなキャンデーを売っているスイーツショップのおじさんでさえ知らなかったりするのです。
でも、どうにか入手しました。日本に昔あった、ゼリービンズのような形でした。

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で、味は?
―まずいのなんのって!!
周りはお砂糖なのですが、中に入っていたリコリスが苦くて食べられませんでした。こんなまずいお菓子の精を、どうして主役にしてしまったのか…。

イタリアのコンフェットとはどういうものだろうと、デパートのイタリア展に行ってみたところ、日本の金平糖とそっくりの、トゲトゲのある白色のお菓子が売られていました。コーティングの中はドライフルーツだったり、植物の種だったり、多彩。ちょっとお高かったのですが、買ってみたところ、こちらは美味でした。

結論:
外国にも金平糖にそっくりの、おそらくconfeitoから派生したお菓子はあります。
でも、日本の金平糖とは違っていて、ちょっとがっかり。イギリスのコンフィットも、イタリアのコンフェットも、白一色で、日本の金平糖のようにきらびやかではありません。

共通しているのはお砂糖でコーティングされているということ。金平糖はお砂糖の層が厚いですが、中に芥子の実が入っているものもあって、作り方はドラジェやコンフィットと同じようです。金平糖も、これらのお菓子も、かつて手作業で作られていた頃は、とても手間がかかったため、高級なお菓子とみなされていたようです。

ちなみに、薬の糖衣錠も、m&mのチョコレートも、俗におのろけ豆とよばれる、おせんべいの一種も、みな金平糖と同じように作られていて、金平糖の仲間になるようです。
「おのろけ豆の精」にならなくてよかったかも。