年末特集(3)ショウガとイギリス人

映画「くるみ割り人形と秘密の王国」は、もう観ましたか?
…と言う私は、まだですが。

この映画に、「マザー・ジンジャー」という、ちょっと怖そうなキャラクターが登場するようですね。
「マザー・ジンジャー」は、バレエの「くるみ割り人形」ではあまりお見かけしませんが、ウェブ検索すると、一部のバレエには登場するようです。
でも、これは単に、「マダム・ギゴーニュ(Gigogne)」が、おそらく発音しにくい、馴染めないなどの理由で、馴染のある「ジンジャー(Ginger)」に変化しただけのように思えます。

ジンジャーとはショウガのことです。
ヨーロッパの人たちはこれをよく、お菓子に使います。身体を中から温めてくれるので、日本でも、温かい飲み物によく入れますし、砂糖漬けにしたものも売っています。

私が一番ハマったのが、ショウガ入りチョコレート。
ずうっと以前に、スイスの、ごく普通のお店で、「Geisha」だったか、そんな名称の板チョコを売っていました。買って食べてみたところ、ビターな板チョコにぎっしりショウガの細切りが入っていました。最初は「げ」と思ったのですが、1枚食べ終わる頃にはすっかり、病み付きになっていました。でも、そのおかしなネーミングのせいか、独特の味のせいか、日本で見かけることはありませんでした。

その数年後、イギリスに行くというポピンズさんに、ショウガ入りチョコをおねだりしてみたところ、素敵な箱に入った、オレンジピール・チョコと同じような外観の、ジンジャー・チョコレートを送ってくれました。お砂糖でトロトロになるまで煮詰めたショウガが、甘いチョコレートでコーティングされていました。

中央線沿線に英国製のジャムを多数扱っているお店がありますが、そこには「ジンジャー・プリザーブ」という、ショウガのジャムが売られています。また、イギリスで育てた梅の木になった梅の実からイギリス人が作ったという、ありがた~いジャムをいただいたことがありますが、これにもショウガが加えられていました。日本人にはなかなか浮かばない組合せですね。

ショウガ入りの飲み物の代表はジンジャー・エールですが、今回のイギリス旅行で、ジンジャー・ショットという、ショウガが濃厚な飲み物にも遭遇しました(前々回の写真参照)。このジンジャー・ショットには甘味がなく、ひたすら辛くて、私は全部飲みきれませんでした。紅茶に入れると美味しいショウガ紅茶になりそう。炭酸割りもいけそうです。

先日行った、ワデスドン・マナーのクリスマス・マーケットでは、ジンジャー・ワインという飲み物が人気を集めていました。テイスティングしてみたところ、ピリッとした味わいで、ちょびっとなら美味しいですが、買って飲むのはしんどいかも…といった感じ。

日本よりも緯度が高いイギリスに住んでいる人たちは、肉布団で防御を固め、さらに身体を中から温めるべく、アルコール飲料やショウガ入りの食べ物をせっせと摂って、寒さと闘っているのかもしれません。