第56話 ふたたびプラチナ・バレリーナ

第1話のプラチナ・バレリーナを最初に目にしてから長い時間が経ち、自分もプラチナ世代に近づくにつれて、ロンドンのスタジオで踊っていた、あのおばあちゃんは何者だったんだろう―と思うようになってきました。

あのときは自分も若かったので、
すごい、あんなおばあちゃんがいる!!―程度にしか思わなかったのですが、
髪の毛がプラチナ色になってグランフェッテを(しかも笑顔で)回るのは並大抵のことではないのに、今更ながら気づいてしまいました。

もしかしたら、自分は化かされていたのではないか?
(ロンドンにはキツネが多数生息するそうです)
実は、特殊メイクをした俳優だったのではないか?
いやいやプロジェクション・マッピングの実験だったのでは?
―とさえ考えてしまいましたが、今となってはそれらを証明する手立てはありません。

もしかしたら彼女はもとロイヤルバレエ団の名バレリーナだったのかもしれません。そうだとすればそうだとしたで、プラチナ世代まで踊り続けるのも凄いと思います(第27話参照)。

今さらあれこれ考えたところで仕方ありません。なので、こう思うことにしました。
幻であろうと、現実であろうと、あそこで見たものは、ダンスのミューズ(女神様)からのメッセージだったのだと。
皆さんも、プラチナになっても輝いて踊ってください―と。
そして、グランフェッテを回ることが大切なのではなく、最後までしあわせに踊ることが大切なのです―と。

最後に、バレエのレッスンで私が大切にしたいのは「場の共有感」です。
一人きりでレッスンをするのは簡単です。スタジオを借り切って音楽をかけて踊ればいいのです。公共の施設を借りればレッスンを受けるより安価です。レッスン音楽はダウンロードできます。ユーチューブでお手本も見られますし、アンシェヌマンやコツを教えてもらうこともできます。
でも、私としては、たとえ言葉の通じない人に囲まれていたとしても「クラス」を受けたいです。
一言も口を利かずにひたすら踊って帰ってきたとしても、クラスに出れば、クラスという場を共有する他人の関与が必ずあります。
私がここまで楽しく続けることができたのは、他人と関与し合ったおかげです。
先生は勿論、スタッフとして面倒を見てくれた人、仲良くなった人、一緒に電車に乗って帰った人、お手本を示してくれた人、挨拶だけの人、挨拶すらしなかった人、スタジオの外でのお付き合いのほうが長くなってしまった人、このブログを書くきっかけを作ってくれて広めてくださった方、そしてこのブログを読んでくださった方たち…たとえお話をすることがなくても、いろいろな人たちが私の周りにいてくれたから、充実した時間を過ごすことができたのです。

読んでいただき、ありがとうございましたm(__)m
ここで一旦、終了しますが、面白そうな素材が見つかったら、随時アップしようかなと思っています。


そのときまで。


See you later, alligator!
After a while, crocodile!

 

f:id:auntmee:20190518083318j:plain