第99話 ナマが一番

ずっと以前になりますが、”食通” ならぬ “レッスン通” の友人と、「♡」を感じるレッスンとは?についてメールをやり取りしたことがあります。

ある日、友人は、彼女の好みに近いことが書いてあったウェブサイトを見つけて、ワクワクしながら体験レッスンを受けに行ったようでしたが、後日、がっかりした様子の報告メールが来ました。

「♡」を感じるレッスンには簡単に巡り会えるものではないのです。

 

昨年になりますが、テレビで、AI美空ひばりさん(アンドロイド)が新曲を披露していました。ひばりさんの歌い方を学習させることで、存命中に歌ったことのなかった歌が聴けるようになったのです。AIは、単に学習・経験を “積み重ねる” だけではなくなっています。

 

ということで、AIに、私たちが「♡」を感じたレッスンを学習させて先生役を務めてもらうというのは、どうでしょうか。

 

いつもの先生のアンドロイドがあれば代行もしてくれるでしょう。感染症が流行したときなどは、AIの先生は理想的です。レンタルすれば、家でもレッスンができます。スイッチひとつで、昨日は初級、今日は初中級、明日はコンテンポラリーダンス、明後日はHIPHOP様々なタイプのダンスを教えてもらえるかもしれません。

 

でも、AI先生のクラスって、どんな感じ?と想像してみて気づいたのですが、生徒が「♡」を感じるのは、バーレッスンの順番やアンシェヌマンだけではないようです。

 

オープン・クラスでは毎回、生徒の面々は異なり、レベルも流動的です。ときにスタジオいっぱいになるほどの生徒が集まります。今日が初めてで、まごまごしている人もいます。どのような状態でも、皆が満足してレッスンに集中できるよう先生が常に気配りをしてくれるから、アンシェヌマンを味わうことができるのです。いくら素敵なアンシェヌマンを組んでくださっても、こちらの気が散っていては「♡」を感じることはできません。

 

「♡」を感じるクラスというのは、先生の心配りや、それに引き付けられて集まって来る生徒たちの作り出す空気、クラスの存在するスタジオの体制など、多様な要素が組み合わさって創り出されているのではないかと思うのです。

 

やっぱりナマの先生が一番!