第111話 コロナに負けない…とは

新型コロナウイルスの流行は、多くの人たちがコツコツ努力を重ねて築き上げてきたものを、あっけなく崩してしまいます。私たちの趣味のような些細なものまで。

皆さんの周りにも、姿を見かけなくなってしまった方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

寂しいことですが、あらがいようもありません。

第57話にも書いたように、誰にも逆らえない「流れ」というものがあるように思えるからです。

 

私もフラウト・トラヴェルソのレッスンを断念しつつあります。

 

先日、「7月から通常通りのレッスンを始めるので、不安が和らいでからいらしてください」というメールを先生からいただきました。

 

早速行きたいところですが、”通常通り” のレッスンでは畳二畳ほどの部屋に閉じこもって息を吐き続けるのです。エアコンが入った部屋でウイルスを持っている人が笛を吹いたら30分後には部屋中が病原体でいっぱいになり、先生は “ウイルスまみれ” になるでしょう🙀

 

先生が感染したら大変ですが、その先生が無症状だった場合、翌週にはそのウイルスは別の生徒さん達に、ひいてはその周りの方々に拡大し、もっともっと大変なことになります。 

そうなると、自分が発端でも末端でも中間でも、有症でも無症状でも、二度と笛を吹く気にならないでしょう。

本当に「不安が和らぐ」のは “有効な” ワクチンができたときだけなのです。

 

「教室から連絡がいく」とのことでしたが、こないのをいいことに(?)、ワクチンが開発されるまで違うことをしよう!と決めました。

 

断腸の思いですが、この先、笛を一生吹くための決断です。

 

笛に限らず、こういう考え方で大切なものを手放された方は、私だけではないのではないかと思います(なので、”目に見える対策” というものは、感染者を出さないためだけではなく、こういう人を一人でも出さないためにも必要なのです)。

 

今まで勇気がなかったり、時間が足りないのを理由に尻込みしていたことも、ウイルスが背中を押してくれたと思って取り組んでみれば、「ウイルスに負けない」ことになるのではないかと思います。

 

スタジオに来なくなってしまった方も、すでに、大人からバレエを始めるというビッグ・チャレンジを経験しているのです。何か別のことを見つけてどこかで輝き始めているはずです。

もしかしたら “何か” の発表会のお知らせが届くかも…そう思って、また会える日を楽しみにしていましょう。

 

 

[管楽器をやっている方だけお読みください:吹いた後の楽器の中は汚染されている可能性大です。中を拭いた布も汚染されていますので、取り扱いには十分ご注意ください(外出先で拭く時はビニール袋を持参して、使い終わった布を入れましょう)。最後に楽器の外側も消毒し、手もよく洗ってください。感染者の楽器はウイルスがたくさんついています。誰が感染者か分からないので、楽器の取り扱いには一人一人が気をつけてください。また、他人の楽器には手を触れないようにしましょう。]