第122話 チャレンジャーのココロ

今はどのバレエスタジオでも細かいクラス分けがなされているようですが、ステップアップのタイミングに迷う人も多いようです。

 

私が始めた青山ヘルシィスタジオは、当初は「初級」のみ。今振り返ると随分難しい「初級」でした。でも、初心者の私には、難しいということすら分からなかったのです。

看板が「初級」しかなければ、できないのは先生の責任(?)にできますが、クラスがいくつかあった場合、ついていけないのはそのクラスを選んだ生徒の責任…ということになってしまいます。

 

子供時代の塾のように「上のクラスに行っていいですよ」と言われればいいですが、オープンスタジオでそういうシステムがないときは迷いますね。先生によっても、クラス・レベルの物差しは大きく異なります。

 

昔、オープンスタジオの某スタジオで中級クラスに出ていた人に、先生が、無理なレッスンはやめるように警告しているのを目撃したことがありました🥶

他の生徒も、自分が言われるのが怖くて、チャレンジを控える傾向がありました。

 

確かに、背伸びしてクラスに出ている人を見ていると、「🙄」と思われるのは分かります。

でも、年月を経て、私自身も背伸びしたり、背伸びしている人を見て、思ったことがあります。

 

人にもよりますが、実力以上のクラスに出るとき、一番しんどいのは本人です。

普通は迷います。見学をしたり先生に尋ねたり、綿密な調査をする人もいます。やっと決心しても、クラスが始まるまで超不安。周りの人が皆、バレリーナに見えてきます。

 

どうにかバーレッスンをクリアしても、センターレッスンでドキドキは最高潮に達します。最後のグループに入ってどうにか踊ろうとしますが、最後のグループの人たちは、よく覚えていない人ばかりだったりして、何を踊っているか分からないうちに終わってしまったり。音楽なんて殆ど聞こえていませんよね。

 

レッスンが終わって気がつくと、顔が怖い表情のまま固まっていたりします。

傍目には十分ついていけているのに、涙を流しながら受けていた人もいました。

もうこれで終わりにしよう…と思いながら帰るのですが、何故かまた受けている自分がいたりします。

 

やがて、今度は周りの人が自分をどう思っているのか、気になってきます。

本当は、みんな自分のことに一生懸命で、他人の踊りなんて見ていなかったりするんですけれどね。

 

でも、そうしてまで受けたいのは、その先生が大好きだから、信頼しているから…に尽きると思うのです。

 

先生が好き…と言っても、先生のキャラだったり、アドバイスの言葉だったり、作ってくれるアンシェヌマンだったり、あるいは単純に先生の容姿や肩書きだったり…様々ですが、この先生について行きたいと思うから、背筋が凍るような思いをしても、人相がどんどん悪くなっていく気がしても、また受けてしまうのです。

 

大人だからチャレンジしてはいけないことはないと思います。

本当に危ないほどついていけない場合は、誰より本人が分かるはずです。

背伸びして難しいクラスを受けることが正しいわけでもありませんが、思い切ってチャレンジしてみるのも悪くはないと思います。

 

上のクラスに入ってみると、踊りが新鮮なだけでなく、注意点も違ったり、新しい発見は必ずあります。上手な人たちの踊りを見て初めて、指摘されたことが理解できることもあります。

初級クラスでは天使だった先生が悪魔になることもあるかもしれません👿

 

でも、くれぐれも無理はしないでくださいね。

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「好きスイッチ」が入らないときの私はまさに「ぐでたま」です。