第74話 先生といつまでも ⁉︎

青山ヘルシィスタジオのバレエのレッスン日と時間は、中野スタジオも含めて、今でも正確に覚えています。その曜日、その時間には槍が降ってきても、弾丸が飛んできても(?)行ったものです。

 

ダンスの先生も生身の人間。特にプロのバレリーナとの兼業ともなると、リハーサルの合間をぬってやっと捻出された時間です。

いっぽう私たちも職業婦人。残業やら、断れない飲み会やらが入ってしまうと、行けなくなったレッスンを頭に浮かべて仕事をしたり、ビールを飲んだりしたものです。

「あー、今頃グランワルツかなぁ? 今日は、どんなアンシェヌマンだろう?」みたいな。

 

そうやって擦り合わせた時間だからこそ、1回1回のレッスンは貴重でした。

レッスンに行けないと、身体の筋肉が緩んでいくような気がして、毎日バレエのレッスンがあればいいのに…と思ったものです。

 

最近のバレエスタジオは、規模は様々ですがチケット制のオープンスタジオがほとんどで、ほぼ毎日、それも昼夜、クラスがあります。フィットネス/スポーツクラブも規模が大きければ、「明日の夕方、ちょっと踊りたいな」と思えば、どこかしらにクラスが見つかることでしょう。

 

では、いつでもレッスンができるようになって幸福度が増したかと言うと、そういう人もいるかもしれませんが、少なくとも私の場合は昔と同じ…気がします。

というのは、これだけバレエのクラスが増えた今でも、「♡」と思うクラスに巡り合うことはそうそうないからです。

だからこそ、ワクワクが尽きないのです。

 

「♡」を感じるクラスにめぐり合って;

大震災後の混乱時にも、家族が家で寝ていても、仕事が詰まっていても、時間の都合をつけて;

多少体調が悪くても、自分にはハードと感じても、数々の困難を乗り越えて、毎週同じ時間に同じ場所に行く。

だからこそレッスンはいつになってもかけがえのないものであり、週一度、遠距離恋愛の恋人に逢いに行くようなときめきがあるのです。

そして、そういう時間を作り出す努力が幸せ感を生み出しているのです。