第46話 〇◇△の春

青山ヘルシィスタジオからの友人ピポちゃんは、トゥシューズを履いて踊るのが大大大好き~!
…でしたが、数年前、怪我をしてからポアントが履けなくなってしまい、今はジャズダンスに専念しているようです。
ジャズのレッスンもずっと受けてきたので、本職は「職人」でありながら、プロフェッショナルなジャズの公演にも出場しています。

かつて一緒にプリエをし、グランジャンプを跳んだ友人たちが、一人、また一人とバレエシューズを脱いでしまうのは、仕方のないこととはいえ寂しいことです。

と言っても踊り好きの友人たちは、バレエシューズを他のダンスシューズに履きかえただけ。何かの形で踊りに関わっている人が殆どで、ときにそういう友人に誘われて私も「ラテンダンス」に挑戦できたりするのは新鮮で、心踊る経験です。

クラシックバレエは全ての踊りの基本―と言われるだけあって、バレエを知っていると、他のダンスも入りやすいようです。
基本と言われるのは、バレエの起源が古く、他のダンスのもととなったからで、そういう意味ではバレエの原型であるバロックダンスこそ全ての洋舞の基本となるのかもしれません。

でも、それだけではないと思います。バレエの立ち方(第45話)が古今東西全てのダンスに共通しているから「基本」なのではないでしょうか。そういう意味では、ジャズダンスや日本舞踊もバレエの基本になり得るのかもしれませんし、バレエはヨガやアイリッシュフルートの基本にもなります。

昔々、AEDダンススタジオに来ていた人に、日本の「舞」(珍しいジャンルだったのだけ覚えています)を習っていた人がいましたが、お稽古の前には必ずバレエのレッスンを受けていると言っていました。「舞」には「ストレッチもバーレッスンもない」ので、バレエで身体を作ってから行くとのことでした。

さて、ノラ猫の私(第38話参照)は、「バレエのおウチ」だけでなく、いろいろなダンスのおウチも徘徊します。ジャズダンス、ヒップホップ、コンテンポラリー…etc。バロックダンスにも首を突っ込んだことがあります。結局はバレエのおウチに戻ってくるのですけれどね。

バレエをやっていると、他のダンスのクラスに初めて出ても、手も足も出ない―ということはなく、脚くらいは出ます。バレエと違って、他のダンスは大人の初心者クラスがあまり準備されていませんが、バレエ主体のスタジオだとコンテンポラリー・ダンスも入りやすかったりします。

木々の芽吹きを目にする季節になると、私の好奇心もにょきにょき芽生え、今年の春は〇◇△に挑戦♪
…春は筋肉痛の春でもあるのです。