第39話 プリンシパル・エクササイズ

昨年は、多くの医学部が男子を入学優待していたことが発覚しましたが、バレエスタジオでは、プロフェッショナル・レベルは別として、男子優待は程遠いです。

バレエ学校ではボーイズクラスがあるのに、大人バレエのスタジオでは、メンズクラスは無いわけではないようですが、滅多に見かけません。
バレエスタジオでは、どのクラスでも男性は10%いるか、いないかです。バレエの礎を築いたのは男性(ルイ14世)だったのですから、男性のほうが多くてもいいはず。やりたいのに、足を踏み出せない男子が相当数いることが推測されます。

昭和にはレアだった(女子の)大人バレエが、平成になって「ブーム」とも言えるレベルになったのです。新元号は、大人男子バレエの時代になるかもしれません。
プリンシパル・エクササイズ」とか、「ダンディ・ダンシング」とか、ネーミングに趣向を凝らせばシャイな男子も入りやすいし、家族に発覚しても恥ずかしくないかも。

せっかく決心をして入って来たのに、黒のジャージにすっぽり身を包み、スタジオの隅っこで壁と一体化するように踊っている男子を見ると、なんとなく気の毒。前列で踊っても誰も文句言わないですよ―と、後ろから押してあげたくなります(しませんけどね)。
男子は、一人で踊る状況になることもあり、毎回、肝試し状態なのかもしれません。
グランワルツのとき、後ろで「じゃんけん」をしていた男子たちを目撃したこともあります。敗者は一人で踊る…というわけです。

昨年、アメリカ人の男女が10人くらい、AEDダンススタジオのバレエクラスを受けにきたことがありました。ジャズダンサー志望の若者たちでした。
センターでは、どこのスタジオもそうだと思いますが、女子のグループの終わった後に男子が踊ります。ところが、アメリカ人男子の一人が、女子のグループに入って踊ろうとするんですね。アメリカでは男女一緒に踊るんだろうか?―と思いながら観察していたら、どうやらその男子には女子の中にsweet heart(カノジョ)がいて、いわば「磁石と鉄」状態。たとえピルエットを回る瞬間でも、くっついていたかったんですね。

まー、若いっていいわねぇ!!
でも、片思いの人は真似をしないでね!―ミー「おばさん」でした。