第35話 スーツケースにバレエシューズを(3)

以来、私は、旅行に行くときは必ず、バレエシューズをバッグにしのばせます。
乗り物に長時間乗るときは車内/機内で履きかえます。座席でアレグロの足さばきのレッスン(!?)
ホテルの室内履きにもなります。そのまま外に出てしまっても大丈夫(!?)
旅先でスタジオを見つけたら、早速レッスンを受けられるかどうか検討します(!!)
そして、帰り道は、いつものクラスに直行(No surprises!?)
ということで、あの数年後に、もう一回、ロンドンでバレエのレッスンを受けました。

コヴェントガーデン駅そばの路地を入ったところにある、総合ダンススタジオ。バレエ、ジャズ、コンテンポラリーのほか、エジプシャン・ダンスなど、聞いたことすらないダンスのクラスがびっしりありました。土曜日の昼下がり、「初級」だったか、「一般」だったか、そんな感じのバレエクラスに挑戦することにしました。

入口でビジターである旨を伝え、お金を払い、着替えてスタジオで待ちます。レッスン開始20分前、スタジオでストレッチをしている人たちは殆ど日本人でした。「日本人向けのクラスだろうか」と思っていると、開始直前、外人(と言うべきか?)の人たちがゾロゾロ入ってきました。「一般」の、「初級」な感じの人たちです。結局、日本人は3割程度。街中で見かける日本人より多い程度でした。

クラスが始まる前、空き缶に、お金が集められました。最初に払ったのはスタジオへのお金で、このお金が先生のフトコロに直接入るようです(ピアニストさんへの報酬も含まれると思われます)。
そして、バーが終わってセンターになると、また缶が回ってきます。お金を払わないで帰る人もいました。バーとセンターが別料金なんですね。
このシステムは、現在もあるかどうかは不明ですが。

レッスン内容は、やっぱり忘れてしまいました。
覚えているのは、センターのグループ分けが日本のように厳密でなく、ピルエットなど何度やっても許されそうな雰囲気だったということ。でも殆どの人は、お行儀よく2回ずつ踊っていました。
そうそう、床がトランポリンのようによく弾んで、跳べば跳ぶほど気持ち良かったのも覚えています。

古いレンガ造りの建物にあったスタジオは、清潔さを重視する日本のスタジオとは対照的。ピアノの音もその建物と同じくらいレトロな響きで、オーセンティックな雰囲気を味わうことができました。
大人バレエは海外でも大人気。しかも、どこの国でも日本人はバレエ好き!