第30話 バレエの効用 (3)アンチエイジング

私が通っていたのは中高一貫の女子校で、学内には1000人を超える女子がひしめいていた、恐るべき学校でした。
美少女が多いことでも名高く (?)、文化祭ともなると入場券を求めて、門の前で男子校の生徒が「僕も中に入れて!」とうなっていました。

そんな美少女達の集まりも、卒業ウン十年後の同窓会ともなると「魔女の集会」と化します。「僕も中に入れて!」という男子など、もはやいません。あまりの騒々しさに、お店の人もいつの間にか、姿を消しています。

「カラボス」や山姥にまじって「美魔女」もちらほら。
この前の同窓会(正確には学年同期会)では、すらりとした、とびきりの美魔女が声高らかに
「あたくし、クラシックバレエをやっております!」と宣告しました。
「おぉ!」の嵐。「私もやっています」と言えない空気…。

ダンスをやっている人は、若いです。
経験年数に関係なく、若いと思います。

ちょっと前に某番組で、年齢を物語ってしまうのは背中についたお肉だと言っていました。
でも、ダンスを始めたからと言って、背中のお肉が取れるわけではありません。
お肉が減らなくても、背筋が真っ直ぐになることで若く見えるのかもしれません。
動きも機敏になるし、多少ながら他人の視線を意識した身のこなしができるようになるからかもしれません。

でも、私は、それだけではないと思います。
ダンスをやっている人が若々しいのは、心の中にキラキラ光る大粒のジュエリーをもっているからではないかと―。
レッスンに行くたびにワクワク。週に1回、または2、3回、ほんの1、2時間だけど、嬉しくて、楽しくて、誇らしくて、みんなに見せたくて、話したくてたまらない。スタジオから離れていても、恋人のことを思うように、ダンスを思い描いてしまう…。
そんな宝物を隠し持っているから、キラキラして見えるのではないのでしょうか。
それこそダンスの「アンチエイジング効果」なのです。