「おうちでレッスン」してみると、いろいろな発見があります。
家の床のフローリングは、生活している分には温かみがあって柔らかく感じるものですが、踊ってみると硬くて冷たいことに気がつきます。部屋も手足を伸ばすとすぐに何かにぶつかって、センターはおろか、バーレッスンさえできません。
スタジオって実は、狭いようでも広くて機能的にできているんですね。
映画「フラッシュダンス」で、主人公アレックスが住んでいたのは広い倉庫。スタジオ付きで、好きなだけ踊っていました。住みやすさは別として、ダンス好きには羨ましい環境です。
私が床の大切さを初めて感じたのは、青山ヘルシィスタジオのときです。
ある日、 スタジオに入ると床がツルツルになっていたことがありました。お掃除をビル管理会社に頼んだら、ワックスをかけられてしまったようでした。
普通のフロアに使うワックスをリノリウムの床にかけてしまうと、台無しになってしまうのですね。歩くのにも困難をきたすほどツルツルでした。
しかも、そのとき発表会のリハーサルがあり、スケートリンクのようになってしまった床の上でトゥシューズを履かなければならなかったのです。
第88話に書いたように、私は、”床を滑る” のは大好きですが、”床が滑る” のは大嫌いです。
ダンススタジオは床が命…と聞いてはいましたが、それまではグッド・コンディションの床しか知らなかったので、床の大切さを身をもって知りました。
さて、「バレエ」+「レッスン」などでYouTube検索をすれば、家でレッスンを受けることもできます。DVDも出ています。
でも、かつて「おうちでレッスン」をして怪我した人を、私は2人ほど知っています。今、病院は大忙しですので、どうか無理をしないでください。
素足でプリエとポールドブラをするだけでも十分。これを機会に完璧なプリエ、美しいポールドブラを身につけるのもいいと思います。
どうしてもそれ以上踊りたい方は、アレックスのように場所を整えてから、お願いします。