第29話 バレエの効用(2) バレリーナ・ウォーク

私は、股関節が若干、外向きについているようです。

バレエを始める前、私はただの「ガニマタ」でした。
相当みっともない歩き方をしていたようで、会社の上司(42歳男性、当時)が私に、雑誌の切り抜きをくれたことがあります。
「O脚矯正のための美容体操」という、(おそらく婦人雑誌の)図解入り記事の切り抜きでした。

今だったら立派なセクハラです。でも当時、セクハラという言葉はあっても一般市民には浸透していませんでした。私自身も、これがセクハラだということにピンときませんでした。
私は、怒りの感情というより、唖然としました。そして気の毒にもなりました。
上司の、そして切り抜きを提供したと思われる奥方様の「想像力」に。
だからと言って、その美容体操を実行するほどのお人好しでもありませんでした。

ところが、バレエを始めてしばらく経ち、転職して違う職場になってからのこと。
「バレエをやっている」と、同僚にカミング・アウトしてみました。
すると、「あー、だからああいう歩き方なんだ。バレリーナってそうだもんね」
と言われたのです。
これにはびっくり!!

バレエを始めた(と宣言した)だけで「ガニマタ」が「バレリーナ・ウォーク」になる!?
これこそバレエの効用です (?)。

でも、もしかしたら、これって見た人の先入観だけではないのかもしれません。
ストレッチをすることでひざの裏が伸びたせいかも。
姿勢が真っ直ぐになって堂々として見えたのかも。
少なくともそう思いたいです。

ちなみにレッスンで行う「バレエ歩き」は大の苦手。「ドロボウ歩行」になってしまう私です。