第23話 キラクにいきましょ!

前回の続きになりますが、
バレエのクラスと、他のダンスのクラスの空気が違うのは、レッスンの進め方も一因かと思ったこともあります。

バレエのレッスンって、案外、踊っていない時間がありますね。特にセンター。
人数が少なくても2グループ以上に分けられます。待っている間は、他人の踊りを観察。
どんな人にでも学ぶべきところはある―と言っても、無意識に評価してしまっていたり。
頭の中でそういう作業をしてしまうと、今度は自分を見る他人の目が気になってしまったり。

ジャズダンスのクラスでは、とにかく踊っていないと置いていかれてしまいます。自分のことで精いっぱいで、他人のことなど見るヒマがありません。

だけど何より違うのは、そのダンスを選ぶ人たちの個性や性格なのかも。

AEDダンススタジオのソフィ先生のバレエクラスには、いろいろなキャラクターが登場します。お地蔵さんだったり、トトロだったり、アントニオ猪木のこともありました。もちろん実物ではありません。あくまで、身体感覚の "たとえ" としてです。
あるとき、「イノキの顔して回ってごらん」というアドバイスがありました。下あごを突き出して、アントニオ猪木の顔真似をすると、回転のとき首の力が抜けるとか。みんな、くすくす笑いながら恥ずかしそうにイノキの顔をしてシェネをしていました。

このクラスに居合わせたジャズダンスのモンターニュ先生、早速同じことをジャズクラスで伝授しました。
そのときの笑いのものすごかったの、なんのって!! 大うけにウケて、しばらくクラスは進行不可能。バレエクラスの反応がさざ波とするなら、ジャズクラスは怒涛のようでした。

それにしても、同じことを聞いて反応する大きさが、こうも違うものかと感心してしまいました。どちらも同じスタジオの、同じメンバーズカードを持っている、同じくらいの年代の生徒達です。

ジャズダンスをやっていると感情表現がオープンになるのか、オープンな性格の人がジャズダンスを好むのか?
バレエをやる人も、もっと喜怒哀楽を表面に出してもいいのでは?
あ、怒と哀はいけませんね。喜楽(キラク)にいきましょ!


Additional Information
「下あごを突き出すと首の力が抜ける」のは、笛の師匠からも言われたことがあり、何らかのセオリーがあるものと思われます。勇気のある方は、是非、ご自分のレッスンのときに試してみてください。