第11話 エアコンと水分補給

この夏は暑かったですね~!
今まで、夏は「乗り切るもの」と思っていましたが、今や夏は「生き残るもの」に変わりつつあるのを実感しました。夏に「挑んで」はいけません。さっさと「降伏」し、自らを進んで快適にしなければ、命を取られてしまいます。

今やスタジオにエアコンはマストアイテム。水分補給も適宜してくださいと言われますが、私がバレエを始めた頃、そんなに昔ではないはずなのに、どちらもありませんでした。

正確に言うと、スタジオにエアコンはありました。他のクラスでは入っていたかもしれません。でも、バレエのレッスンでは切られていたようです。冷房の中でレッスンをすると筋肉によくないという、昔の考えが蔓延していたのです。それでも昭和の建物はたいてい窓が開いたので、8階のスタジオでも、人がすり抜けられない程度に開けることができ、涼しい風が吹き込んできました。そもそも今ほど暑くなかったので、倒れる人もいませんでした。

水分補給も、レッスン中に「適宜」水を飲む習慣はありませんでした。ペットボトルなどというアイテムもなかったし(本当に、そんな昔の話じゃないんですって!)。

さすがにエアコンの切られたスタジオでのレッスンは喉が渇いたので、私は、隠れて、水筒に入れてきたジュースやお茶を飲んでいました。隠れて飲まないと、先生にチクる人がいて、先生に注意されたんです。学校の話ではないですよ、成人相手のダンススタジオの話です。

それを思うと、エアコンの入ったスタジオで、水を飲みながらレッスンできるなんて天国のような話。
いやいや、エアコンを入れなくても、しょっちゅう水を飲まないでも、誰も倒れなかった、そんなときのほうが天国でしょう。