第75話 楽器のパドドゥ

今週末は、またまたフラウト・トラヴェルソの発表会です。

今回は、チェンバロの伴奏付きという超豪華版です。

 

チェンバロは、まだトラヴェルソという楽器を知らなかった頃から憧れていた楽器。

古楽器でありながら未来的な音を出す楽器を、いつか自ら繰ってみたいと思っていたのですが、チェンバロ通奏低音)の楽譜は難解で、それを読みながら演奏するのは今生では無理そうです。楽器もお安くないですし、メンテも大変

そんな、気難し屋の貴婦人のような楽器と共演できる、貴重な機会です。せっかくなので、リコーダーも演奏させてもらっちゃいます!

 

ところが、思いのほか大変で、焦りに焦っているのです。

大変ではなさそうな曲(お気に入りの、ヘンデルのフルートソナタ)を選んだつもりだったのですが。

 

先週、伴奏の方と合わせてみて気が付いたのです。アンサンブルというものは単に、お互いの楽譜を演奏し、拍さえ合えばいいというものではないのです。相手の音によって自分の音も変わり、変えなければならず、お互い影響を及ぼしあって、一つのまとまった音楽に聴こえるといった感じでしょうか。

 

今までも、リコーダー・アンサンブルなど、合奏をしたことはありました。でも、これらでは「合わせる」ことに終始していた感じでした。

敢えて例えれば、ソリスト抜きのコールドバレエって感じでしょうか。

 

これに対して、今回のアンサンブルはパドドゥに近いかもしれません。呼吸を合わせるのは当たり前。自分を美しく見せつつ、相手の魅力も引きださなければならないのです。自分一人で突っ走ってしまうと、オーディエンスに美しい印象を与えることができないのです。

なるほど、トラヴェルソ奏者とチェンバロ奏者の夫婦が多いのは、こういうこともあるのでしょう。

(ちなみに、音楽家の知り合いはあまりいないのですが、同じ楽器奏者の夫婦には未だ出会ったことがありません。)

 

先週までは、初めて他の楽器と合わせるのが心配で、憂鬱でもありました。間違えたらどうしよう、音程やテンポが合わなかったらどうしようなど。

今も不安はあります。でも、ちょっと楽しみになってきました。

1+1がいくつになるのか? 3になるか、0.2になるか。マイナスにはならないでほしいですが。

 

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マイセン動物園展にて