第115話 おうちdeフリーマーケット

第111話に書いた通り、フラウト・トラヴェルソのレッスンを断念した私ですが、毎日5分は楽器を手に取るようにしています。

この「最低5分練習」は前の師匠に言われたのですが、ウクレレ高木ブーさんも同じことを言っていました。一日一音でも出すことが大事なのですが、言うは易し行うは難し。手に取るのも億劫なこともあります。人間ですから。

 

でも最近手に入れたクヴァンツの楽譜のおかげで、とりあえず5分以上は “楽しんで” います。

 

クヴァンツは18世紀のトラヴェルソ演奏家で、作曲もする傍らフリードリヒ大王に笛を教えていたと聞いています。今回私がゲットした楽譜「Caprichen」も、フリードリヒ大王のために作られた練習曲集だそうです。

 

バッハとほぼ同じ頃を生きたクヴァンツですが、バッハの書いた曲のような重々しさはなく、現代曲といってもいいほど新鮮で軽妙なメロディーやリズムの曲がたくさん含まれています。民族音楽のような響きをもった曲もあります。曲の長さもお手頃で、気軽に吹けて、吹くことでウキウキしてきます。

 

この楽譜をもとに、かつての王様はどのように演奏したのだろう(古い楽譜には細かい指示は書かれていません)、猛々しく吹いたのだろうか、それとも案外優しい音色だったのだろうか、お妃様に聴かせたりしたのだろうか…、様々に想像しながら笛に息を吹き込むと、5分はあっという間に過ぎてしまいます。

 

前の師匠のときに一部をコピーさせていただいたのですが、全部を手に入れたくて探していたところ、中古の楽譜を手に入れることができました。トラヴェルソの楽譜はどこにでもあるわけではなく、何より高価なのです。この楽譜も新品だと7000円になってしまいます。

 

今回私はこの楽譜を4000円で入手しました。

フリマアプリ「メルカリ」のおかげです。

 

実はAEDダンススタジオにはメルカリの達人が何人かいて、私服、レオタード …、更衣室で「いいね」と褒めると「メルカリで買った」と返ってくることが多かったのです。そこで私もアプリを入れてみたのですが、彼女たちのように “いいもの” を探し当てることができず、開かずのアプリとなっていました。

 

そこに、たまたまバレエのレッスンの帰りに一緒になった方が、「ピアノがメルカリで売れたの♪」と言っていたのを思い出し、「トラヴェルソ」と検索に入れてみたところ、楽譜だけでなく楽器そのものやCD…いろいろヒットしたのです。そこに、このクヴァンツの楽譜を見つけました。

 

メルカリは今年の春、マスクの高額取引でニュースに度々登場しましたが、本来は “もったいない” をなくすための、楽しく健全にエコするシステムです。特にマイナーな分野、レアな楽器では、売りに出される方も、かつては手に入れるのに苦労したり、多くのお金を払っているはずで、ゴミ袋に入れることなどできないのです。かと言って、自分の周りに必要とする人がいるとも限りません。

トラヴェルソなどの楽譜では、コピーをとってから書き込む人が殆どなので、オリジナルの楽譜は新品同様です。

 

検索してみると、ドイツ製のチェンバロも売りに出されていました(200万円!今は値が下がって190万円‼︎)。さすがにこれは “コンビニ受取り” で送ってもらうわけにはいかないでしょう。

 

感染確認者数が再び増加し、外出を控えがちな昨今、レアな楽器や楽譜を探し当てて密かに上達するのも楽しいかもしれません。

 

「バレエ」で検索すると実に多様なものが出てきます。買ってしまったけれどイマイチ似合わなかったバレエ・スカートに新しいご主人を探してあげることもできます。バレエ・スカートや楽譜は規格や破損の心配も少ないので、出品も購入も、ネット取引初心者向きです。

 

メルカリの達人シカちゃんと最後にメールのやりとりをしたのが、緊急事態宣言前。

「メルカリで買ったレオタード 、着れなくなっちゃった」みたいな文面でした。

それ以来、シカちゃんには会っていません。レオタード 着ることができたのか、サイズ大丈夫だったのか尋ねたいところですが。

 

きっとこんな感じかも…

「ああ、あれね。コロナ太りで入らなくなっちゃったからメルカリで売っちゃったよ」

 

シカちゃん、勝手に作ってゴメン!

f:id:auntmee:20200806194119j:plain

今回ゲットした楽譜。飾っておきたいくらい、表紙も美しい、でしょ!?