第96話 駅前での再会

NHKの朝ドラ「スカーレット」が最終回を迎えました。

 

最後の1ヶ月、息子・武志が白血病を発症してからは特に、ドラマというより映画を見ているような展開でした。朝見るのには重すぎて、夜の(BS)再放送を観ていましたが、今日は、コロナのおかげで、朝からゆっくり見ることができました。

 

さて、青山ヘルシィスタジオには、ルシーニュ先生の他にもう一人、バレエの先生がいました。

ヘルシィスタジオのクローズにシンクロするように、その先生は白血病の一種を発症されました。たしか、悪性リンパ腫だったと思います。“治る” とはされているものの、容易には克服できない病気です。

 

私は、その先生のレッスンにはあまり出ていなかったのですが、家が近所ということもあって、飲み会にはよく声をかけていただいていました。先生は、お酒はもちろん、みんなでワイワイすることが大好きだったのです。いつでも飲み会には沢山の人が来ていました。駅前の焼肉屋さんを借り切ってパーティーをしたこともあります。先生の一声で、焼肉屋さんから溢れそうなくらいの人が集まっていました。

 

先生が発病されてから、私はお見舞いに行きました。

私の記憶が正しければ、化学療法を始められる前と、(おそらく)骨髄移植で入院されたときです。骨髄移植は、「スカーレット」でもドナー探しに奔走する様子が描かれていましたが、その後ドナーバンクが確立され、また自己血から、臍帯血からなど様々な方法が開発され、当時は普及しているようでした。

 

ドナーの確保は容易になっても、患者にとっては容易では決してなく、骨髄移植で入院されたときの先生は、かなりシンドそうでした。ワイワイしていない先生を見たのは、後にも先にも、このときだけかもしれません。

 

病院から私の職場に電話がかかってきたこともありました。おそらく戦い前夜のときではないかと思いますが、

「これから尿検査なの。実は昨日、病室で宴会しちゃったんだけど、検査でバレないかなぁ?」と。(あのときは、もう二度と心配しないぞ!…と思いました。)

 

ともあれ、型破りと言えるほどのバイタリティーがあった先生なので、最終的には病気を克服され、バレエの先生として復活されました。お祝いの気持ちを込めて、レッスンを受けに行った覚えもあります。以前と全く変わらず、むしろパワーアップされたくらいでした。

通院の帰りに駅前でお会いしたこともありました。治ったとされていても数年間は通院されているようで、通院のたび、再発していないかとドキドキされているようでした。

 

その先生と、バッタリ会ったのは今年が明けてすぐの頃でした。やっぱり駅前でした。

最後にお会いしてから10年以上は軽く経っていると思うのですが、元気、元気!全然お変わりなくて、本当、嬉しかったです。

お引越しをされたようですが、たまたま前のお家に寄ったそうでした。すごい偶然です。

 

次にお会いするのは、いつになるでしょう? 

駅前にあった、先生お気に入りの焼肉屋さんはどれも、違うお店に変わってしまいました💧 

でも、きっとどこかに美味しいお店を見つけて、今でもワイワイやっているのでしょう。

いつまでもお元気で、バレエの楽しさを伝え、お酒を楽しんでいてほしいものです。

 

また、駅前で!

 

〈ずいぶん昔のことなので、正確な病名や治療法など、ひょっとしたら勘違いがあるかもしれませんが、大体のところと理解して読んでください。〉