第54話 ダンスのライブラリー


昔むかし、月初めに駅前の光雅堂書店で「小学〇年生」という雑誌を買ってもらうのが楽しみの一つでした。「ウルトラセブン」や「ウルトラマン・タロウ」や「ドラえもん」にまじって谷ゆき子さんという漫画家の描いたバレエ漫画が連載されており、今思うとそれが私とバレエの出会いでした。

やはり光雅堂書店で出会ったのが、ピンク色の表紙の「少女小説シリーズ」の「白鳥の湖」。不器用な少女が地道な努力を重ねてバレリーナになっていく姿がドラマチックに描かれています。Mバレエ団付属のバレエ学校を参照したと思われるこの小説には現実感があって、バレリーナの厳しさを子供ながらに悟ったものです。

 

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バレエを始めてから出会った、メアリ・マッケイの「ダンス・ロマネスク」は、世界と時代をまたいだダンサー一族にまつわる、本格的「大河小説」です。実在のダンサーが次々と登場するこの本のページをめくっていると、次々と場面の変わるダンスのステージを観ているようで、字が小さいことも忘れて一気に読み終えてしまいます。

 

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「ぶたのモモコはバレリーナ」は、メルヘン好き、絵本好きの友人に推されて買いました。絵もストーリーもとってもキュートで、手元に置いて何度でも読み返したい一冊です。

 

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「ダンサーズ・ヘルスケアブック」は、青山ヘルシィスタジオ時代の友人が挿絵を担当しました。正確に描かれた身体のイラストにまじってユニークな挿絵に彼女の人柄が垣間みえます。多くのダンサーを診た医師が著したこの本には、身体の使い方や怪我についての情報が豊富に含まれていて、プロフェッショナルなダンサーには勿論、アマチュアのアダルト・ダンサーズにもオススメです。

 

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「バレエをやりたい」には、まだ「大人バレエ」がレアだった頃、「バレエをやりたい!」情熱に取り憑かれた日本中のアダルト・ダンサーズの経験談がぎっしりつまっています。この本をもとにしたテレビドラマも放映され、これを発端に大人バレエブームが起こったとも言えるのではないでしょうか。有名な先生方からのアドバイスや有用情報も満載されているので、是非手に取っていただきたい一冊です。

 

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「赤い葉っぱのバレリーナ」は、私が、かつて同じスタジオに通っていたプロのイラストレーターさんに声をかけて、当時の先生の出産祝いに制作した手作り絵本で、この世に2冊しかありません。私の文章には勿体ないくらいイラストが可愛かったので、表紙だけアップさせていただきます。第45話の "チュチュを着たタヌキ" も、この絵本のために彼女が描いてくれたものです。(出産をひかえた先生のお腹がタヌキのようだったから書いた…わけではありません。)

 

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そして―Last but not least―、「ラスト・ソングー父と踊った日」。私の分身、ダンス好きのオムレットさんが、やはりダンス好きだったお父様を看取った経験をユーモアたっぷりに記されました。介護中の方、看取りをされた方の気持ちに寄り添い、励ましてくれる、珠玉のエッセイです。

 

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本文中にダンスシーンはありませんが、オムレットさんのお父様の遺品にダンスシューズが2足もあったとか。このブログの読者の方なら、間違いなく気に入っていただけることでしょう。

長い連休、心ゆくまで踊ったし、テレビも同じような番組ばかりで飽き飽き…そんなとき、一冊、手に取ってみませんか。