第8話 "みんなが" ダンシング・クイーン

最近では初心者向けのバレエクラスがたくさんあって、先生にイチから丁寧に教えてもらうことができ、今、始める人はいいなあと思います。
でも、そういうクラスのないときにバレエを始めたからできた、「ダンシング・クイーン活用上達法」があります。ダンシング・クイーン/プリンスをよーく観察するだけです。

ミラー・ニューロンって聞いたことありますか。
ウィキペディアによると「・・(中略)・・」で、私の解釈では、幼児が母親の動作を真似たり、若者がアイドルのダンスを真似て一緒に踊ったり、老人がドラマを見て登場人物に感情移入したり、そういうときに働く神経のようです。

なので、レッスンのとき、上手だなと思う人をよーく観察して、このミラー・ニューロンに仕事をしてもらうのです。
上手な人のお手本は、先生が言葉を尽くしても教えられないものを雄弁に語ってくれるものです。
ダンスはイメージが大切。上手な人たちの姿を頭に描いて踊るのも大切。

と言っても、いつも同じ人をじーっと見つめていると怪しまれるので、ときに正面から、ときに横目で、ときに違う人も見て、ときにストレッチをするフリをして、でもしっかり観察しましょう。ミラー・ニューロンがピカリン! と発火するように。
どうしたら脚が高く上がるかとか、たくさん回れるか―ということではなく、軸のとり方とか、顔の付け方、身体の角度、音のとり方、間のとり方・・・、よく分からなかったら、この前先生が指摘してくれたことが、踊りの中ではどう生かされているかを見ればいいのです。

私は、たまたま見た、小っちゃな子供のピルエットに開眼したことがあります。プレパレーション、立つタイミング、顔の付け方・・・、その頃、別々に指摘されて私の頭の中にバラバラに置かれていた断片が、その子のピルエットを見てひとつの形にまとまった感じでした。早速、次のレッスンでその子のピルエットをイメージして回ったら褒められました。
先生に言われたことを忠実に再現する子供の踊りは、大きな参考になるものです。
自分が持っていないものを持っている人すべてが、ダンシング・クイーンになり得るのです。