第67話 フランスの宮廷舞踊、イギリスの民衆舞踊

私がフラウト・トラヴェルソを最初に習ったのは30歳のとき。3年くらい習って中断。長ーいブランクがありました。

 

以前に習っていた先生は、チェンバロ奏者の奥様と、リコーダー奏者とヴィオラ・ダ・ガンバ奏者の方々とユニットを組んでバロック音楽の演奏会も催されていました。

蓼科で音楽会を開かれたとき、演奏後にバロック・ダンスの講習会があり、観客の皆さん(殆どが先生方の門下生でした)と一緒に、ヘンデルメヌエットを踊りました。

 

バロック・ダンスはバレエの原型とも言える、宮廷舞踊です。一般的に習う人は少数派ですが、ルネッサンス/バロック時代の音楽を演奏しようという人は必ず勉強されるようです。

 

バロック・ダンスには、足のポジションやパの名称など、バレエとの共通点がたくさんあります。ロングドレスからのぞく足先や手の動きは優雅ですが、衣装による制約も大きく(当時の衣装は重く、伸縮性もないのです)、宮廷で踊られるため、ダイナミックな動きはありません。ピルエットと呼ばれる片脚で回転する動きもあり、プレパレーションは概ね同じですが、高齢者向けピルエットといった感じです。

 

踊りの詳細や軌跡は「舞踏譜」に書き記されており、現代人はそれを読み解きながら踊ります。これがとっても厄介です。

かつてはバロック・ダンスを広めようという動きが多少あったようで、私も、北とぴあで開かれた講習会に顔を出し、カルチャースクールの5回講座にも足を運びました。が、”楽しむため” のダンスとはいささか違うようでした。

 

西洋の古い音楽が好きな私は、時々CDショップにも足を運びますが、何を探すと言うことなしにCDを眺めていると発見もあります。

宮廷音楽はフランス(の作曲家)が多く、民衆音楽はイギリス発が多いのです。「イギリスの宮廷音楽」や「フランスの民衆音楽」もあってもいいのに、あまり見かけません。

 

イギリスにも宮廷はあったはずですし、そこではダンスも踊られていたはず。フランスにも民衆(農民)はいたはずですし、農地面積で言ったらフランスの方がイギリスより広いはずなのに…?

単に、CDの数だけの問題で、曲の数はまた別の話なのでしょうか?

 

そして、これも私の考察にすぎないのですが、バレエは宮廷舞踊の要素を持ちながら、軽やかな踊りはイギリスのカントリーダンス(映画などによく出てきます)の影響が強いように思えます。

特にアレグロ。ジュテやパドシャに、イギリス農民の躍動を感じてしまうのは、私だけでしょうか。