第141話 アナザー・プラチナバレリーナ

私がまだボケていなければ(?)第一話にロンドンのスタジオでグランフェッテを回っていたおばあさんの話を書いたと思います(わざわざ掘り返すほどのものでもありませんが)。

彼女によく似た方に年末のレッスンでご一緒しました。クラスではグランフェッテはしませんでしたが、踊り方が正確なだけでなく気品にあふれ、私の目は釘付けになってしまいました。年齢やダンス歴はミステリーですが、"頑張ってる感" は微塵もなく、踊りを楽しんでいる様子はロンドンのおばあさんとそっくりでした。

更衣室の入室を待っている間、ちょっとだけお言葉を交わすこともできました。
踊り方は人柄を表す…の通り、感じの良い方で、ハッピーな気分で去年のラスト・レッスンを終えることができました。

ロンドンのおばあさんや彼女はダンスの神様に愛されているんだと思います。

ダンスの神様に愛されるのは、彼女たちがダンスを愛していて、丁寧にダンスに接しているからだと思います。実際、彼女たちの踊り方はとっても丁寧で、無駄な力が入っていないように見えます。いっぱい脚を上げようとか、いっぱい回ろうとか、高く跳ぼうとか…。
その代わりに、指先からつま先まで、神経が行き届いていて美しいのです。

ロンドンのおばあさんは窓の外から拝見しただけでしたが、彼女の笑顔を覚えているくらいなので、自然にバレエを楽しまれていたのだと思います。

良い先生に手ほどきを受けたのかともと思いますが、彼女たち自身がそういうものを大切にする感性を大切にして、ワンレッスン、ワンレッスンをいつくしんできたからではないでしょうか。

彼女たちに出会えたのも、ダンスの神様からの贈り物かもしれません。
これからも、彼女たちを追いかけて踊っていきたいです。