第66話 バーゲンより混雑⁉︎

AEDダンススタジオには、お正月や夏休みとなると、いつもの5割増しくらいの数の生徒さんがきます。AEDダンススタジオの2スタは広く、4~50人くらいでもOKな感じもしますが、5割増しで気を使います。ジャズダンスだと6~70人ほどいても普通にレッスンできそうですが、バレエではセンターのグループ数も多くなり、慣れていない人も多く来るため、先生も5割増しで頭を使われることでしょう。

 

青山ヘルシィスタジオも、私が始めた頃はそれほど混んでいなかったのですが、バレエクラスは次第に人気を集め、スタジオクローズの時には狭いスタジオに30人以上、ひしめき合うようにレッスンを受けました。階下でバーゲンセールが催されていた時も、バーゲン会場よりスタジオの方が人口密度が高かったのを覚えています。

 

某スタジオはお正月にオープンし、私も1月2日だか3日だかのオープニングレッスンに参加しましたが、70人ほど受講していた記憶があります。当時、お正月にレッスンを行うスタジオは殆どなく、そのうえ定員という発想もなく、”来るものは拒まず” 受け入れたようです。

バーにありつけない人もいましたし、掴まることができてもバーの上が手だらけで、どれが自分の手かも分からない状態だったのを思い出します。

 

都会のダンススタジオはいつでもどこでも人でいっぱいです。

私のように雑念だらけの人間にとって、人に囲まれたレッスンは集中力との戦いです。センターのとき、うかうかしてグループに入り損ねて踊らないで終わっちゃったことも、一度や二度ではありません。順番を待っているときの、身の置き所にも迷います。

じゃあ空いているほどいいかというと、それも寂しかったりします。順番も、他人をアテにすることができませんしね。

折角 “個人レッスン” が受けられたのに、「私が来なければ、先生、帰れたのに、すいません」と言った人もいたそうです。

 

混んでいるクラスには理由があるようにも思えます。

人気クラスではアンシェヌマンが魅力的です。自由自在に動ける人たちのクラスは勿論、初級クラスで動きのボキャブラリーが少ない生徒にも、ワクワクするような振りを組み立ててくれます。16回のシャンジュマンだって、ただ跳んでいるだけでは終わらないのです。

 

それから人気教師は身体イメージの表現が上手です。ゆるキャラを登場させたり、絶妙な例えを駆使して、ときに詩のような言葉で説明してくれます。側から見たら、私の踊りに大きく変わりはないはずなのに、そのような先生のクラスに出ると魔法にかけられた気がしてきます。

 

私が学生の頃、アルバイトでテニススクールのコーチをしていた人が、「おばちゃんは褒めればいい」と言っていましたが、今時のおばちゃんは “肥えて” いて(五感が)、褒められたくらいでは木に登らないのです。

 

好みにぴったりで、混んでいないレッスンを見つけると「♡」と思いますが、都会のスタジオの宿命として、より人気のあるクラスに置き換わってしまう可能性もあります。前記某スタジオでは、そうやって私の大好きなクラスは幾度となく消されてしまいました(/ _ ; )

 

フィットネスクラブでも、参加人数が減ってくるとメニューや先生が替えられてしまうと聞いたことがあります。でも、ダンスの好みは十人十色。大衆受けすればいいわけではないですし、いつ行っても “すし詰め状態” では行く気も失せるでしょう。混んでいないところで思い切り体を動かしたい人や、じっくり取り組みたい人もいるので、あまりシビアな競争はしないでほしい気がします。

 

なにより、そういう戦々恐々とした気配が見えるのは気持ちのいいものではありません。受ける人が1人でもいれば、そのクラスの良さがまだ認められていないだけ。何かのきっかけで満員御礼に転じるかもしれないのです。

…と構えていただいて、その分、人気クラスでじゃんじゃん稼いでください。