第65話 私のヨガ修行🧘‍♀️

今から10年以上前、ヨガに夢中になったことがあります。

 

青山ベルコモンズ内にできたヨガ・ショップに小さなスタジオが併設され、そこでヨガクラスが開催されました。

ヨガといっても、アシュタンガヨガ、アイアンガーヨガ、ヴィンサーヤ(ヴィンヤーサ?)ヨガなど、様々な種類があるのですが、初めて聞く私には何が何やらさっぱり分からず、どれもイマイチかも…と思った矢先、アイアンガーヨガに出会いました。

 

アイアンガーヨガは、一言で特徴を言えば、器具を使います。

「器具」の言葉にちょっと引いたのですが、出てみると画期的でした。

人の身体は皆、違います。筋肉や関節の柔らかさも、手足の長さも。

なので、外見上同じポーズを取っていても、柔らかい人とかたい人では効果が違ってしまうのです。体がかたい人は苦痛のあまりストレッチすべきところが十分伸ばされていなかったり、逆に柔らかい人にはストレッチによる心地よさが感じられなかったりします。そこで誰もが十分な効果を得られるように、ブリック、ヨガベルト、ブランケット、椅子、壁まで利用します。ときに先生の手が補助してくれました。

 

終わった後、とにかく気持ちいいのです。肩凝りの解消に始めたのですが、60分のレッスンで身体中の凝りや歪みがすぅっと消えて、生まれ変わった気分になりました。

私は整体とかマッサージをやってもらったことがないのですが、おそらく最高のセラピストにこれらの施術をしてもらったらこういう感じになるのではないかと思います。

実際、アイアンガーヨガはインドでは治療的に用いられているようで、ヨガの中でも唯一、教師になるのに資格が必要だそうでした。

 

ということで、アイアンガーヨガにハマりました。

ときはヨガブーム。スタジオは渋谷にもでき、アイアンガーヨガばかり週に4回も受けたこともあります。クラスで仲良くなった人があまりにも楽しそうにヨガ道場の話をするので、ヨガ道場まで足を伸ばしたこともあります。道場には大規模な器具やインド直輸入の器具があって新鮮な経験でしたが、さすがにこちらはハードで、数回でリタイアでした。

 

ところが、物事に終わりは必ず訪れるものです。

先生は結婚されてアメリカに渡ることに…(;_;)

アイアンガーヨガの先生は他にもおられましたが、いまひとつ合わないのです。

ダンスの先生にも相性はありますが、ボディワークとなると、もっと微妙な相性があります。

補助をしてくれる手の強さとか、ポーズを継続する時間やテンポ、メニューの組立て方、声のトーン、生徒一人一人に対する観察眼…、全ての面で先生はパーフェクトだったのです。

 

そのうちヨガブームも去り、スタジオもなくなってしまいました。

私はダンスに返り咲くことになりました。

 

ヨガは、現在、根強い愛好者を獲得して確固とした地位を築いているように思います。実際、オーセンティックなヨガを経験すると、心身ともに充実した感じがして病みつきになるのです。意外と思われるかもしれませんが、立ち方やアンデオールの感覚は、ヨガを通じて実感として理解することができます(ベルトを使って引き上げたり、太腿を外旋させる方法があるのです)。

 

もう一度あの感覚を味わいたくて検索してみたことも何度かありますが、あの先生ほどの師に出会える確信もなく、ついにヨガマットは台所マットになってしまいました。ベルトは旅行のとき重宝しています。

 

これも、私の「流れ」(第57話)なのでしょう。