第70話 スマイル ☺︎

某スタジオに通っていたとき、ある人とよく間違えられました。

どこが似てたかって?…一番似ていたのは名前でした。

背格好も似ていましたが、彼女は幼少時からバレエをやっていたので、彼女の方が格段に上手でした。昨年、運命の女神さまに招待状をいただき、彼女が出演する発表会を見て来ました。

 

あらためて、彼女の笑顔の素晴らしさに気がつきました。

踊っている喜びがにじみ出てくるのです。本当に楽しそう。

私は今日も踊れてしあわせ…そんなメッセージが伝わってきました。

舞台に一緒に出たことはありませんが、出たとしたら表情で区別できるでしょう。私には、あの笑顔は不可能です。😊(彼女)vs😒(私) って感じでしょうか。

 

表情については、私もかつてルシーニュ先生に指摘されたことがありましたが、そこまで気を配る余裕がありませんでした。しかめっ面で踊っていたとしても、心は存分に楽しんでいるのだし…とも思っていました。

でも、彼女の踊りを見て、遅ればせながら先生のおっしゃることの大切さが理解できました。顔も踊りの一部…なんですね。

何と言っても、顔は身体の一番上についているのです。

 

大人からバレエを始めた人と子供の頃からやっている人の差は、こういうところに現れるのかもしれません。大人から始めると、手と足の動きでいっぱいいっぱい。普段の生活でも笑う機会が減っているので、「笑って」と言われてもすぐに表情筋が反応できなかったりします。

 

もちろん、大人から始めた人でも経験を積めば笑顔もプロ並みになるのかもしれませんが、どうしても顔は後回しになります。普段のレッスンの中で指摘してくれた先生も、ルシーニュ先生以外にお会いしたことがありません。

 

…ということで、今日から笑顔のレッスン。

だけど、第29話に書いたようにガニ股で強面の私には、アンデオールよりも笑顔を作る方がずうっと難しいのです。