第27話 寒桜

私がバレエを始めた頃は、大人バレエと言っても、せいぜい20~30代の「コムスメ・バレエ」でした。"アラフォー" が紛れこんでくると、すっごいおばさんに見えたものです。
それが今や50代、60代、70代、80代の人だっているかもしれません。「熟女/紳士バレエ」です。

ちなみに「〇歳からのバレエ」の〇に40、50、60・・・と入れて検索すると、60歳が一番多くヒットします。(少し前まで「40歳」でした・・・どんどん年齢は上がっています!!)
なので、クラスによっては30代以下の人たちが珍しかったりすることもあります。

その一方で、子供の頃からバレエをやっている人たちは、「〇歳からのバレエ」の「〇歳」頃に辞めてしまう人が多いようです。バレエを始めた年齢が若いと、「いくらでも踊れる」状態を身体が覚えているので、身体と折り合いをつけるのに苦労するのでしょうね。

子供の頃から踊っている人たちは、脚が上がらないと不完全燃焼感が残るようです。
まだ「跳べる」つもりで思い切り跳んで、身体を痛める人もいます。
その点、筋肉量が減ってきてから始めると(自分の脳が)予想する高さが低いので、身体に負担はかかりません。それどころか、今まで何もやっていなかった人が60歳でバレエを始めれば、それから脚は上がるようになるし、跳べるようにもなります。
・・・と考えると、大人から始めるのって、結構お得!?

大人になってから始めた人たちは、とかく「子供の頃、やっていれば…」「やらせてもらっていれば・・・」と考えがちです。ピルエットのシングルもまともに回れないそばで、若い子が2回も、3回も、平然とした顔で回っていると、「チッ」と思ったりするのは、私だけ?
跳ぶ高さが低くて音が余ってしまったのに、隣では若い子がまだ宙に浮いていたり。

回っていなさい。跳んでいなさい。花の命は短い。
春風の下でパッと咲いた桜の命はせいぜい1週間。季節外れの寒桜はずうっと咲いています。
細く長く踊れるのは、大人から始めた人たちの特権です。