第82話 「踊る」遺伝子

周りに旅行好きな人っていませんか?

 

かつての職場に “ニワトリさん” と呼ばれる、「旅行に行くと決めたら、駄目と言われても、テロがあっても、SARSが流行っていても、仕事が入っても、絶対に行く!」という人がいて、周囲のヒンシュクを買っていました。

海外旅行や冒険旅行に限らず、温泉から帰って翌日また温泉に行くという人もいるそうです。洗濯物はどうするのだろうと心配してしまいますが、どうやらこの「旅行熱」の原因は「遺伝子」らしいのです。

 

その遺伝子は「wanderlust gene」と呼ばれており、日本語では「旅遺伝子」などと訳されています。遺伝子の繰り返し回数により程度の差があるようで、最高である7回繰返しを持つ人は、”旅行をしないといられない” とか。

 

旅行が遺伝子の仕業とは、びっくり。

でも遺伝子の仕業となれば、ニワトリさんの「旅行熱」も仕方ないかと…?

 

さて、私は、違う媒体に「踊る」遺伝子について書いたことがありますが、「踊り好き」にも遺伝子が関与している気がします。

私の仮説ですが、この遺伝子を持つ人はおそらく、音楽を聞くとエンドルフィンなどの快楽物質が脳内に分泌されるのです。そして自分が音楽と一体化することで、ますます快楽物質が分泌され、幸福感に満たされまます。一旦この快楽を経験してしまった人は、さらなる分泌を求めて踊り続けるのです。

 

私の親戚をざっと見回しても、父方には歌舞音曲好きが “見事に” 揃っています。どの程度遺伝子を共有しているかは不明ですが、人間国宝舞踊家もいます。その一方で、母方の親戚にはそういう人が “一人も” いません。

 

ところで、私たちが持っている遺伝子は、何らかの形で生存に有利だから残っているのだそうです。

迷惑とも思える病気遺伝子も、それがあったから氷河期や食物の少ない時期を生き残れたそうです。「旅遺伝子」があったから、アフリカで発生したホモ・サピエンスは世界中に散らばって行けたのです。この遺伝子がなかったら、人類は未だアフリカにひしめき合っていたかもしれません。

 

では、「踊る」遺伝子が “あるとして”、それはどんな面で人間に有利だったのでしょう?

 

踊りの上手な姫が王子様と結婚できた…のではないでしょう。「踊り好き」遺伝子と「踊りが上手い」遺伝子は同じとは限りません。

踊ることは健康に良い…も違うと思います。遺伝子を持っている人が皆、ダンスをしているとは限りません。ダンスがこれほど一般に広まったのは、つい最近のことなのです。

 

「踊る」遺伝子を持っていると、例えば、何かの病気にかかりにくい…とか、クヨクヨしない…とか、コミュニケーションに有利(例えば言語に秀でている)…とか、女子力が高い…とか、何かありそうな気がします。

 

ともあれ、私たちが「好き」と思ってやっていることは遺伝子に操られている…のかもしれません。

 

(*「wonderlust gene(旅遺伝子)」の記述については証明されていますが、「踊る遺伝子」に至っては全て私の想像です。検索しても出てきませんので、あしからず m(._.)m )