第86話 ポシェットと呼ばないで

レッグウォーマー、ニット、ダウンベスト、保温ボトル…何かと荷物の多くなるこの季節。

皆さんはどんなバッグを愛用されていますか?

 

私は長年、バッグ選びに “多大な” 時間を費やしてきました。バレエを始めてからは特にです。

と言うのは、私は「カタナシ星人」。肩なし…いえ、肩はあるのですが面積が狭くて傾斜があり、大きなバッグを肩から掛けると、ずるずる落ちてしまうのです。肩からすべり落ちるバッグを無理やり担いで肩や首を痛めたことは一度ならず。

 

日本に「カタナシ星人」は決して珍しくなく、バッグの滑り止めも売られていますが、「これ!」という画期的な商品に出会ったことはまだありません。

肩パッドブームの再来を密かに願うばかりです。

 

ブランドバッグが流行したときはボーナスを投じて買ったものですが、ブランドバッグは総じて重量があり、使いづらいことが多いのです。そもそも舶来品は「イカリ肩星人」の外国人仕様で、「カタナシ星人」には向いていないのです。

 

リュックが流行(前回の流行)したときは私も愛用しましたが、リュックも、小柄の人が大きいのを持っていると、「山登り?」と聞かれる羽目になります。リュックの形によっては、肩から落ちてしまうこともあります。

 

自分でも作りました。バケツ型、トート型、ナップザック…。作っているうちに、どのような形や材質が私の肩に相性がいいのか、分かってきました。

 

大いに助かったのが、青山ヘルシィスタジオにあったレンタル・ロッカーでした。仕事帰りに行くとき、レオタード類とタオル、シューズ程度なら大した荷物ではないのですが、それに職業婦人としての必需品やお弁当が加わると満員電車で邪魔になるのです。大きなバッグを抱えて急いで出ようとするものなら、「あら、今日もお稽古?」と言われかねません。

 

フィットネス・クラブではよく見かけるロッカーですが、青山のロッカーは大きかったので、ポアントや数回分の着替え・タオルだけでなく、マイ・シャンプーやボディローション、傘、生理用品、お菓子までストックしておけて、スタジオに “帰る” のが楽しみになりました。

 

そして最近のトレンド、小さなバッグの “たすき掛け” も、私の “たすけの神” です。

 

バッグの重さの原因となるのは主に日常必需品、つまりお財布、(昔は)手帳やケータイ、化粧品など。これらを小さいバッグにまとめて持てば、大きなバッグも軽くなって肩に引っかかってくれるのです。デパ地下で買い物をするときも、カフェで席を取るときも便利です。今ではどこへ行くにも、たすき掛け小バッグ+トートバッグの組合せです。

でも、うっかりこれを「ポシェット」と呼ぶと年がバレてしまうので、「ミニバッグ」と呼びましょう。

 

このような試行錯誤を重ねて出会い、思い出を共にしたバッグたち。気に入ったのに使い心地がイマイチだったバッグたち…。

お気に入りのバッグを辿ると、その時その時のスタジオやレッスン風景もよみがえってきます。