第108話 風まかせ

私は、ふら〜っと風まかせに生きたい人間なので、予約というシステムがあまり好きではありませんでした。

レストランや歯医者や美容院でさえ、予約を入れた瞬間、自分で自分を束縛した感じがして「もう逃げられない」感がありました。

 

そもそもバレエを始めたのも、チケット制というシステムが気に入ったからで、月謝制だったら始めていなかったんじゃないかとさえ思います。

 

そんな私に、この感染症のおかげで、予約をしなければバレエもできないという試練が降りかかってきました。

人生最大のピンチ!

…と思いきや、案外、快適だったりします。

 

以前のように職場に通っていたら、夕方5時になって急に残業…ということになったり、急に映画の試写会に誘われたり(そういうときに限って面白そうな映画なのです)、葛藤も多かったのですが、今はそういうことはありません。発熱さえしなければ行けます。

 

何よりなのは、Web予約ができることです。

キャンセルもWebでOK!キャンセルすることで、他の誰かが喜ぶこともあります。

素敵な世の中になりました❣️

 

逆に、「早い者勝ちの定員制」はちょっと敬遠しています。

本来の私向けなのですが、定員を超えた場合、もしかしたら長い間、混雑した電車に乗ってきた「誰かさん」がレッスンを受けられなくなってしまうかもしれません。

 

目前まで行って門が閉ざされていた…という辛酸は、この感染症が始まって以来、私も嫌というほど味わってきました。カレー屋さんだったら「また、いつか」でもいいのでしょうが、レッスンはそういうわけにはいきません。なので、敢えてその競争に参入する気になれないのです。年齢のせいかも⁉︎(笑)

 

第66話にバーゲン会場より混雑していたスタジオの話を書きましたが、定員制・予約制のおかげで、今はどこもゆったり気味です。人気の先生だから、いい場所でやりたいから…と、気合を入れて行く必要もありません。

 

レッスン以外でも、最近では予約制が増えています。

予約とは「安全な場所をスマートに確保しておくこと」。

そう考えると、悪いことではなさそうです。