先日、テレビで田中泯さんと女優の橋本愛さんが対談をしていました。
橋本愛さんが、泯さんの舞台を見た後、自分が泯さんの身体の中に入って一緒に踊りたくなって、それが気持ち良かった…と言っていました。
田中泯さんが映画の中で「観客と自分の間にダンスがある」「見ている人もダンサーだ」と言ったのはこういうことなのでしょう。
観客はただ観ているのではなく、パフォーマーに自分を “同化” させたいものなのです。
そして、それは、ジャンルを問わず、プロアマを問わず、あらゆる舞台とそれを見ている人の間で起こることなのではないか?…と思いました。
私の父は70歳を超えてからピアノを習い始めたのですが、父に黙って発表会を観に行ったことがあります。
出演者は皆、高齢になってからピアノを始めた方ばかり。
父は1回トチっただけでしたが、中には心臓のバクバク音が会場中に響き渡りそうなくらい上がってしまった方もいました。
見ていた私も、どっぷり疲れてしまったのを覚えています。
何で面識のないじいちゃんばあちゃんの舞台で、こんなに私が疲れるのだろう?…と思いましたが、その理由が分かった気がしました。
観客席に座っていると、舞台上で演じられているものに自分を関与させたくなるものなのです。
なので観客は、なるべく上質のパフォーマンスを求めるのではないでしょうか?上質であればあるほど、自分も心地よくなれるからです。
高いお金を払っても、はるばる移動をしても。
そしてこれは、オンライン放送や動画を見ているときや、関心のない舞台/パフォーマーのときには起こらない気がします(少なくとも私の場合は)。
一方、関心さえあれば、ストリートパフォーマンスでも入っていけそうな気がします。「場踊り」もそうでしょう。
そう考えると、やっぱり生舞台/生演奏は貴重な体験。
舞台芸術は不要不急では決してないのです❣️